アニール処理について
2014年04月9日
アニール処理は、樹脂成形品の「ゆがみ直し」
最近、ホームページからのアニールについての問合せが多いので、少しご説明しておきます。
一般的にプラスチックのアニール処理は主に歪み取りが目的です。
多くのプラスチックはものすごい圧力で金型に押し込められた状態で冷却されるため歪みが残ってしまいます。これを残留応力とも言います。
大抵の成形品はそのまま出荷されるのですが、寸法を重視する精密部品などはこの残留応力を低減させ反りや変形を防いだり、また塗装や印刷、接着など溶剤を使う加工が入る製品では残留応力が残っている部分からの割れ(クラック)などを防止する必要が出てきます。
この残留応力を取るためには電気炉や熱風乾燥機に入れて一定時間一定温度で加熱した後、徐々に温度を常温まで下げていきます。これを一般的にアニール処理と言っています。
熱風乾燥機のほかに熱水槽やオイルソルトバス使ったりしますが、原理は同じです。
当社では熱風乾燥機で処理しています。
セミー工業のアニール処理では吸水のデメリットを回避しつつ強度向上が可能です。
これとは別にナイロン製品(ポリアミド6)を強制的に吸水させて衝撃強度を上げることもアニール処理と呼んでいます。
基本的にナイロン樹脂は、吸湿性があり吸水することにより寸法安定、衝撃強度が向上します。
成型直後は絶乾状態となり、衝撃強度が1/10以下に低下しており、成形品の割れクラック等の発生原因となります。簡単に言うと乾燥したおせんべいは簡単に割れるけど、湿ったおせんべいは柔軟性が出て割れにくいってことです。
実際の処理は成形品を熱湯の中に一定時間、浸しておくことでプラスチックの分子の間に水をしみこませていくのです。ただこれには下記のような問題点がありました。
・熱湯に浸す為、温度管理が難しかった。(吸水率が一定にならない)
・成形品が濡れてしまう為、水切り等の手間が生じた。
・熱湯に浸す事により、急激に熱がかかり、変形を起こす原因となっていた。
・成形品から水中に染み出た添加剤や未重合のモノマー等が白い汚れとなって製品に付着し、除去に手間がかかった。
これを解決したのが当社で導入している「カトマンアニーリング装置」です。
この装置はチャンバー内で高温多湿の空気を循環させてナイロン成形品に含水をさせます。
これも簡単に言うと機械的にコントロールされた蒸気を使った「蒸し器」です。
これによって上記の問題は解決され、吸水率の管理も可能となりました。
■お客様からの課題を弊社のアニール処理によって解決した事例はこちらをご覧ください。
【課題】ナイロン製品を水槽でアニールすると製品に汚れが付着します。