可塑剤の移行とは
2015年11月2日
プラスチックの成形品で市場に出てしばらくしてから発生するクレームのひとつに「可塑剤の移行」があります。
これはプラスチック成形品と可塑剤の多く入ったゴムや塩ビを使った製品が長期間接触し続けると、その可塑剤がプラスチック成形品に移って劣化させてしまい、いろいろな不具合を生じさせる現象です。
可塑剤というのは塩ビ等のゴム類や樹脂等に入っている添加剤のことです。ゴムや樹脂の柔らかさを維持するために配合されています。シーリング材や弾性塗料にも使われています。
皆さん消しゴムを、プラスチックの筆箱や机の引き出しのプラスチックトレーの中に長期間入れっぱなしにしていたり、塩ビシートの床材の上にプラスチック製品を置いていて、久しぶりに動かそうとすると相手方のプラスチックにべったりと貼り付いていたり色が移っていたりしたことはありませんか? これは消しゴムや塩ビシートに含まれる可塑剤が染み出して相手方の成形品に移ってしまうために起こる現象です。
可塑剤の移行は使用される環境や期間によってゆっくりと現れるため、製品の設計や試作段階では検証できないことが多く、市場にでまわってからクレームになることがありますのでその製品が可塑剤を多く含んだゴムや軟質塩ビを使った製品と接触し続ける場合はその影響を考慮してプラスチック原料を選定する必要があります。
一般に耐薬品性の弱いABSなどは要注意です。POMやPPなど耐薬品性の強い樹脂であれば比較的安心です。